空の果て-End of the sky- 鉱石編:思考テキスト#プロローグ 日常無効/Change #Prologue すでに冷たくなっている。 甘いはずの缶コーヒーは、わずかに苦く感じた。 朱色の夕日が今日は一段と眩しいのではないだろうか。 朱色の空の中心に赤には似合わぬ黒がある。 東京タワーが影を作っていた。その黒がひとつあるだけで、そのせいで、 余計赤く空がみえてしまうのではないだろうか。 東京タワーの近くの公園で溜息をひとつ洩らす。 今日もいつもと変わらない。 学校をサボるための自分ための口実。 僕は、理由がなければ、何もできないから。 すこし風が吹く中。秋風の吹く空の下。 いつもの毎日が本当に嫌だった。そして、この嫌悪感がもっと嫌だった。 でも、確かに僕はここに存在したし、僕はここにいた記憶がある。 その記憶は決して嘘ではないし、そこを通った通行人の記憶にも少ないながらあるだろう。 その日はなぜか、印象に残った。紅い空の中の黒い影の東京タワー。 僕は、その日、東京に確かにいたんだ。