Wand of BLUE Heart 序章  ・・・。 鮮血の月というべき赤い月の夜 私はある手紙を残し、彼の元を去りぬ  ・・・。 今、手紙を書き終えた。 私はここから旅立とう。 すべてをすてて。 そして新しいすべてへの手向けとして "これ"を持っていこう。 すべては彼のために そして、すべては私のため。  その日は夕立の去った涼しい朝から始まった。 窓辺に飾った水芭蕉の花が、美しくも悲しく。 水をしたたらせ、俺の存在を見ているかのようだった。 俺は1本のタバコを出し、火をつけて、 ベランダから周辺を眺める。 日常風景のこの世界は今は雨を滴らせまるで別の世界のようだった  タバコの灰がポトっと落ちるまで、何故か俺はこの光景を眺めていた。 別の世界で、俺は何をしているのだろう。 そして、何を眺めていたのだろう。 いまや過ぎてしまったこの光景を眺めたという時間軸は もう俺のなかの記憶から消し去られつつあった。  何故か今日は、哲学的だなと思うことを客観的に見ている自分が存在していた。 まぁ、これも何かの節目が終わったということかな。  そう、そう思えればよかった。 すべてはあの時始まったのだろう。 タバコを捨てた俺は何を考えているのだろうか。 いや、もう今の俺はそんなことを考えてもいない。  そう。この手紙を見つけてしまったことから、 俺の時間軸はこの世界の時間軸からずれてしまった。 彼女の手紙には     そこは美しい情景だった。    私はそこに行きたい。     あなたもそこへ       彼女はこれだけ残した。 俺の思考回路が白く塗りつぶされていく錯覚に陥った  この時から俺は・・・。         元の世界へ戻れない。  昨日、大量に降っていた雨は、いつの間にかやんでいて あたしの気分は絶好調だったんだ。 今日は先輩の家に遊びに行く約束もしたし、 まぁーそのままノリにのっちゃてー あんなことや〜こんなこと〜キャハ。 お昼をすぎたから、先輩の家に行こうっと 今日は気分がいいなぁ〜 と思ったらズンっと気分がめいった・・・。 先輩がいない・・・。 おととい約束したのに・・・。 あたしの存在ってそんなもの!? あ・・・。 それ以下か。ずーん もう、落ち込んでてもしょうがない! 先輩!どこにいたって見つけてやりますから!  今日は、妹のやつがはりきってやがったな。 まぁ、僕には関係のない話さ。 今日もボーリング場で僕はバイト 時々悪いやつらがきて、からまれたりするけど そういう人だって、仲良くなると結構やさしかったりする。 そんなこのバイトが僕は好きだ。 でも、今日は、店長がいないらしい。大変だ・・・。 まぁ、今日もがんばってみせるさ〜。 13時をちょっとすぎたころ、ふと思った。 いつも来る長い髪のおねぇさんこないなぁ。 このバイトを続けてるのは、あの人が来るってこともあったんだけど まぁ、場所変えたのかもしれないし、しょうがないかな〜。 四人の歯車はゆがみつづけていた。 一人の残した手紙から、この物語は始まる。 すべてを取り巻き、巻き込んで、すべては終結する。 そして・・・。私は・・・。